およそ1000年の歴史を誇る手漉き和紙「上川崎和紙」文化を伝える。道の駅 安達『二本松市和紙伝承館』

上川崎和紙の歴史は長く、今からおよそ1000年前の平安中期に始められたと伝えられています。

上川崎和紙のルーツを辿ると、かつては「みちのくの紙」とも呼ばれ、その品質の高さから平安京の貴族の間でもてはやされ、かの有名な紫式部や清少納言たちに愛された「まゆみがみ」だともいわれるそう。現在では、福島県の重要無形文化財 工芸技術に指定されています。

そんな歴史ある和紙文化を現代に伝え、手作りの和紙製品を気軽に購入することができる、道の駅 安達にあります『二本松市和紙伝承館』をご紹介します。

手作りの作品がたくさんの店内

館内へ足を踏み入れると、すぐ脇に和紙で作られたジオラマがあります。
昔の人の暮らしぶりが和紙で表現されており、人物や干し柿、大根なども細かく作られています。和紙でこんなものまで作ることができるんですね。

館内に入ると、たくさんのハンドバッグが並んでいます。
こちらに展示される商品は定期的に入れ替わるそうです。

和紙で作られた製品だけでなく、様々なハンドメイド作品も販売しています。

上川崎和紙で作られた製品。
機械仕上げにはない和紙ならではの風合いと、手作りのやわらかさを感じます。

こちらは竹や木で作った骨組みに何枚も和紙を張り合わせて作る、一閑張りのかご。

ひとくちに和紙といっても様々な使い方や表現があり、色や質感をはじめとしてたくさんの違いがあり、受ける印象が大きく異なります。
その表現の幅の広さに、こんなデザインの和紙もあるんだと見入ってしまいます。

紙すき体験も行っています

二本松市和紙伝承館では紙すき体験も行っています。

予約をしていなくとも、気軽に「うちわ」や「はがき」「色紙」などを制作する紙すき体験を行うことができます。
※制作するものや人数などにより予約が必要になります。詳しくはお問い合わせください。

こちらの作業場で紙すき体験が行えます。

和紙職人さんが作業をされていたのでお話を伺いました。
「かずだし」という、繊維を水に浮かせて繊維からゴミや茶色い部分などを取り除き、綺麗な繊維だけを残す作業中とのことでした。
とても細かい作業で、ひとつひとつ丁寧に確認しながら余分なものを取り除いていました。

こちらが「かずだし」を行ったもの。繊維が輝いていて、とても綺麗です。

二本松市和紙伝承館では、和紙の原料となる「楮(こうぞ)」の栽培から行っており、和紙伝承館の隣にも畑があるとのことで見せていただきました。
この緑色の植物が和紙の原料となる「楮」です。葉っぱの形が桑の形に似ています。
綺麗な繊維を作るために、栽培にもとても手間をかけているそうです。

作業場には、乾燥した「楮」がこの様にストックされています。

「紙すき」を行うまでには、釜で蒸して木の皮をはぐ「かずはぎ」、繊維を取り出す「かずひき」、先ほど拝見した繊維から余分なものを取り出す「かずだし」、繊維を細かくする「楮くだき」など多くの工程があり、その一つ一つを手作業で行うため「紙すき」を行える様になるまでには、とても時間と手間がかかっていると伺いました。

こちらは繊維を細かくする「楮くだき」に使用するピーター機と呼ばれるもの。

この作業を行うことで、和紙の紙すきで見ることができる繊維の状態になります。
保存料などを使用していないため、冷蔵庫で保管されています。

これはトロロアオイという植物だそうで、この根からとった粘性の高い液「ねり」を繊維に加えて紙すきを行います。
そうすることで繊維が均一に広がり繊維の浮遊時間も長くなり、紙を漉きやすくなるそうです。

和紙を作る工程では、このような石臼など伝統的な道具を用いて作業を行うそう。
お話を伺っていて、あまりの手間の掛けようとそれぞれの工程の丹念さに気が遠くなりそうになりました。

地元・上川崎で栽培した楮から作られる、正真正銘の上川崎和紙

原料となる楮の栽培から手作業で途方もない手間をかけ、一枚一枚丁寧に紙を漉いて作られる上川崎和紙。

二本松市和紙伝承館は国道4号線沿いの「道の駅 安達(上り)」にありますので、休憩ついでに気軽に立ち寄ることができます。
平安時代からおよそ1000年、現在まで脈々と受け継がれてきた伝統文化に触れて見てはいかがでしょうか。

和紙ソフトクリーム

和紙伝承館のお隣にある「アイス工房ツースリー」さんでは、和紙の原料である楮の葉を使った、ここでしか食べられない「和紙ソフトクリーム」を販売しています。

滑らかでほんのりと楮の葉の香りが感じられます。他にも「そばソフトクリーム」など変わり種以外にも色々な味のアイスがあります。気になった方はぜひお試しください。

 

名称 二本松市和紙伝承館
(道の駅「安達」智恵子の里 上り線)
所在地 〒969-1511 二本松市下川崎字上平33-1
営業時間 9:00~17:00
定休日 1月1日
駐車場 普通車146台、大型車43台、身障者用 6台
電話番号
0243-61-3200
WEB www.michinoeki-adachi.jp/index.html

 

※記事作成時点の情報です。営業時間や料金等変更の場合があります。
最新情報は施設へご確認ください。

 

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